退院の日 ⑤実家に
実家に帰宅後。
祖父の仏壇に線香をあげるのと同時に祖母に報告をした。
「楽しみにしていたのに残念で仕方ない。
辛くて声も掛けれないし、顔も見れない。
どうしていいのか、分からなかった」
そう言って祖母は涙を流した。
そんな祖母に私は携帯で撮った息子の写真を見せてあげた。
「可愛い」と言ってくれた。
それから「ありがとうね」とも。
「旦那さんが夜遅いからね。あんたも一人でよく頑張ったよ」
祖母のその言葉にまた涙が溢れ掛けたがぐっと堪える。
その後二、三言葉を交わした気がするが覚えてはいない。
ただ、最後に祖母の部屋を出る際に言った。
「大丈夫。時間は掛かるかもしれないけれど、立ち直るよ、絶対」
これがその時の精一杯の言葉だった。