入院5日目 ③火葬という現実

火葬なんて嫌だ
離れるなんて出来ない
離れたくなんてない
離れるなんて無理だよ

けど……このままには出来ない
このままじゃいけない

ドライアイスは寒い。冷たい。暗い。怖い。
別室で一人で寝てるのかな？
寂しい思いをしてるのでは？
病室にいるママはずっと傍には居てあげられない……
一人で寂しくて寒い思いをしてるのかな？
そんなの嫌だな……
はむちゃんにはさ、
温かくて快適な場所で
ゆっくり休んで欲しいんだ
ゆっくりゆっくり寝て欲しいんだ

はるを連れて来て貰った際、愕然とした事を思い出していた。
葬儀屋から運ばれたドライアイスによって、柔らかかった筈のはるの手が、指が、冷やされて関節が曲がらなくなっていたのだ。
辛い現実、冷たい手を握り締めながら涙が溢れた。

火葬は嫌だ
離れるなんて絶対嫌だ
けど、こんなふうにドライアイスで囲んで寒いままにしておくのも嫌だ
我が儘だ、分かっている
分かっているけれど……

目の前の現実を前に、感情がぐらぐらと揺れていた。