2019/3/10 妊娠34週で息子を死産

今はただ、もがくしかってない

入院5日目 ④揺れる感情

「お外に連れて行ってあげたかったな……」

病室の窓から見える景色を眺めて、そう呟いていた。

君の笑顔が見たかった
君の声が聞きたかった
笑って欲しかった
動いて欲しかった
泣いて欲しかった
おっぱいをあげたかった
動いて泣く君に悪戦苦闘したかった

お外に出て
色んな所に行って
色んな場所を見せてあげて
一緒に幸せを家族3人で分かち合って
君とお出掛けしたかった
君と一緒に遊びたかった
本当に心から楽しみにしてた
それだけが、それだけが、本当に心の支えで
君との未来が全てだった
君との3人で過ごす、生きていく未来が、全てだったんだ

一瞬の判断、それで全てが奪われた
どうしてあの時……
もっと何か出来る事があったんじゃないのか
悔やんでも悔やんでも悔やんでも悔やんでも
悔やみ切れない
どうしてどうしてどうしてどうして
なんでなんでなんでなんでなんで
なんで……
後悔しても後悔し切れない

本当はもう、
辛くて辛くてどうしようもない
明日を、この先を生きていく希望も自信も何一つ無い
このままじゃダメだって、
なんとか前を向こう向こうとしてるけど、
向き切れていない
向き合い切れていない
本心は全然
受け止められてない
受け入れられてない
受け入れるなんて不可能だよっ

嫌だよっなんでっなんでこんな事になったのっ
なんではむちゃんは死んじゃったの
なんでどうしてはむちゃんだけ
なんでなんでなんでなんでなんで
どうしてどうしてどうしてどうしてどうして
嫌だよこんなの
寂し過ぎるよ
寂しいよ
苦しいよ
辛いよ
辛過ぎるよ
嫌だよ
行かないで
目を開けて
目を開けてよ、はむちゃん……
お願いだから
ママを一人にしないで
傍に居て
一緒に居たい
一緒に生きたい
一緒に生きたい
はむちゃん……ゴメンね……

これからどうやって生きて行ったらいいのか分からない
生きていく気力が正直無いのかもしれない
どうやって、君無しで生きて行ったらいい?
どうやって、君無しの未来を想像したらいい?
無理だよ、出来ないよ
君が居なくちゃ
君が傍に居てくれなくちゃ
影も形も無くなって
遺骨と遺灰しか残らなくなったら
ここを退院して
君を火葬してしまったら
もう二度と会えなくなってしまったら……
もう、本当に、立ち直れないかもしれない
苦しくて辛くて
寂しくて寂しくて寂しくて
はるくんもこんな気持ちだったのかな?
ぞんざいに扱われた時、きっとこんな寂しい気持ちになってたんだよね
本当にゴメンね
最低最悪のママだね
ママになる資格なんて、ママにはきっと始めからなかったんだよね……
これは罰、なのかな……

はるくんはママが嫌いだったかな
嫌いだった、よね……
ママの事、恨んでくれていいから
嫌いで大嫌いでもいいから

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スマホに書かれていたメモ。

「このまま時間が止まればいいのに」

こんな、わりとよくある陳腐な台詞。
正直、なんて安っぽい台詞なんだと思っていた。

だけど、今なら分かる。その気持ち。

時間は決して戻らない。
けど、戻れないならせめて、止まってくれ。

『火葬』というタイムリミットを目前にして。
この時はただ、心の底からそう願わずにはいられなかった。