2019/3/10 妊娠34週で息子を死産

今はただ、もがくしかってない

入院4日目 ①真相

真夜中、日付けが変わって少しした頃。
眠れずにいると助産師さんが様子を見にやって来た。

「あの、聞きたい事があって……」

私は思い切って切り出した。

はるが生まれた時の状況。
手術時間。
全身麻酔を打たれて意識を失ってからの事。
母子手帳に書いてあった『蘇生』について……

『病院に着いた時、はるは生きていたのか?』

教えて欲しい、と。
ずっと聞きたかった事を、勇気を出して聞いてみた。
すると、逆にどうだったと思うのかを助産師さんに尋ねられた。

正確な時間は正直全く把握出来ていない。
私の記憶の中では、
病院に着いたのが確か午前5時前。
その時にちらりと見えた心拍数は確か151、141。
心音はその時には確かに聞こえていた。
病院に着いた時には確かに、心拍数も心音もあった筈だった。
手術室に運ばれたのが、午前5:30前。

はるが産まれた時間は、午前6:32。

術後、何時に目が覚めたのかは分からない。

一応、旦那や母にもその時の状況を聞いてはみたのだが、結局誰一人、正確には状況を把握してはいなかった。

真実、真相は一体どうなのか。
正直、聞くのが怖いと思った。
聞かないという選択肢もあった。
けれど、ここで聞かなければきっと一生後悔する。
真実を知らなければ一生後悔すると思った。

『そうだよね。私もいつ話そうか迷ってたんだ』

そう言って、彼女はゆっくりとその時の状況を話してくれた。

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『取り出した時にはもう、心臓は止まっていた』

『赤ちゃんを取り出した後、暖かい台に乗せて処置するんだけど、
赤ちゃんを取り出すと、ピクッピクッて反応するの。けれど、その反応もなかった。
だから恐らく、心臓は胎内で止まっていた』

『それから管を入れて人工呼吸をして。
1時間くらいずっと頑張っていた』

『だから、
病院に着いた時に聞こえていた心音は、
きっともう、最後の方だったんだよね』

『「ここまでこればもう安心だ」って。
きっとママが病院に着くまで頑張ってくれてたんだよ』

それを聞いた瞬間、どっと涙が溢れ出した。
それならば尚更、もっと早く、病院に行ってあげるべきだった……

『そんな事ないのっ。
確かに今思えば、ってそうなるけど……
はるくんの顔見た?すごく穏やかな顔してたよね』

『本当に苦しいお子さんは苦しそうな顔をして産まれて来たりもするけれど、はるくんは産まれてからずっとあの顔のまま。
きっと安心してたんだよ。
ママはもう大丈夫だって。
苦しまなかったんだよ』

手術の際、大量に出血し大量に輸血をした。
最悪、子宮摘出も有り得たと後から聞いた。

その当日、異変に気付いたのは日付けが変わった真夜中。
もし、あのまま異変に気付かずに眠っていたら、もしかしたら私は助からなかったかもしれない。
もしかしたら、旦那は赤ちゃんと私の両方を同時に失っていたかもしれない。

ママを守ってくれた。
パパを守ってくれた。

全てが悲しくて辛くて苦しくて……
死んでしまいたいと思っていた。
けれど、その話を聞いた時、思った。
「死んではいけない」と。

話ながら助産師さんも泣いていた。
助産師さんも一緒に泣いてくれた。
それがなんだかとても嬉しくて。

話を聞くのが怖いと思っていた。
真実を知るのが怖かったから。
けれども、話を聞けて本当に本当に良かった。

ママを守ってくれた、
優しくて強くて何よりも立派な息子。
そんな息子を持てた事を、私は心から誇りに思った。