2019/3/10 妊娠34週で息子を死産

今はただ、もがくしかってない

入院2日目 ②意地で立ち上がる

午後。
母と入れ違いで義両親がお見舞いに来てくれた。

「体調はどうか?」とか。
「また次頑張ればいい」とか。
確か概ねそんな感じの会話をした気がする。

私は昨年の12月末に結婚したばかり。
その間、挨拶やら顔合わせやらで何度か2人に会いはしたが、それでも会ったのは合計4回程度。
心配は掛けたくないし、泣いてはいけないと必死に堪えたが、結局は堪え切れず。
お見舞いに来てくれた義両親の前でもまた泣いてしまった。

とはいえ、泣き噦る訳にも行かず、なんとか涙を拭いて顔を上げる。
すると、看護師さんが入って来た。
昨日の夜中に話を聞いてくれた看護師さんだ。
病室に入って来た彼女は何を言い出したか。

「ベットから起き上がる練習をしましょう!」

正直びっくりした。
え?今?
義両親がお見舞いに来てくれている所なのに?……と。

「先生から、ベットから起き上がれたら麻酔を外してもいいと言われました。
麻酔を外せば、腕に付いてる点滴も一つ外せますし、酸素マスクも外してもいいです。
やりますか?やらないですか?」

なんて強制的な……
しかも、なんでこんなタイミングで……と正直思ったが、ここはもうやるしかない!

気を遣って「じゃあ、退出します」という義両親に対し、「構いませんよ」と笑顔を向けて、彼女は私に視線を向ける。

看護師さんが隣にスタンバイ。
ベットの上体を起こして、重い上半身を起こし、両足をベットから下ろす。

身体に力を入れながら昨日の事を思い出していた。
麻酔の影響で常に身体が重い。頭が特に重い。到底立ち上がる事なんて出来ないと感じていた。
けれども昨日、はるに会った時、はるを抱っこした時。
重い頭を持ち上げられた。少しだけ起き上がる事が出来た。自然と頑張る事が出来た。

はるに会う時に麻酔でふらふら、ろくに起き上がれもしないなんて嫌だ!
はるに会いたい!
はるをちゃんと抱っこしたい!
それが原動力の全てだった。

看護師さんと義両親に見守られながら、気合いを入れてほとんど意地で立ち上がる。
立ち上がる過程、身体とはこんなに重いものかと思った。
しかも、立ち上がったはいいものの、予想以上にふらつきが酷い。一歩でも踏み出したら倒れそうだった。

とはいえ、頑張った甲斐は確かにあり。
私はその日のうちに麻酔を外して貰う事が出来たのだった。