火葬
2019/3/18.火葬当日。
午前5時。早朝に目が覚めた。
はるを棺から出し、抱っこする。
パソコンを立ち上げて、音楽を聴かせてあげた。
涙が溢れた。
棺に戻したくなかった。
棺に入れてしまったらもう、二度とはるを抱っこ出来なくなる。
本当にこれが最後になってしまう。
このままずっとはるを抱っこしていてあげたい。
出来るならばこのまま、はるを連れてどこかへ消えてしまいたかった。
けれど、時間は決して待ってはくれない。
旦那に急かされ、ゆっくりとはるを棺に入れて、沢山の花を添える。
棺を抱えて車に乗せた。
私は後部座席にはると一緒に座った。
火葬場へと向かう中、ずっと棺に手を添えていた。
その日の天気は晴れ。
青く澄み渡る空は雲一つなく、鬱陶しい程の快晴だった。
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告別室。
外では泣かない。泣きたくない。
最後はちゃんと泣かずに見送る。
そう心に決めていたが、告別室内に入ってすぐ涙が溢れて止まらなくなった。
最後のお別れ。
棺に入ったはるを上から覗き込んだ。
パパが買って来てくれた熊の耳の付いた帽子を被り、水色の服を着て。
沢山のおもちゃと花、絵本と手紙とに囲まれた君は、相変わらずすやすやと眠っているような穏やかな顔をしていて。
苦しかった。
これが、はるの顔を見れる最後なんて……
寂しくて悲しくて苦しくて。
何か言葉を掛けてあげたかったが、全然言葉が出て来ない。
ごめんね…ごめんね……
ちゃんと産んであげられなくてごめんね……
心の中で、謝る事しか出来なかった。
時間が来た。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
待って待って待って待って
涙をぼろぼろ流しながら、そっと棺の蓋を閉じた。
はるを入れた棺が火葬炉の扉の向こうへ入っていく。
目を逸らしてはいけない。
最後までちゃんと、
母親として、ちゃんと最後まで見送るんだ。
そう思う反面。
行かないで行かないで。
心の中でずっと叫んでいた。
はるの棺を中に入れて、扉はゆっくりとしまっていった。
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返って来たはるを見て泣き崩れた。
約50分後。
目の前の扉がゆっくりと開く。
ゆっくりとはるの棺を置いた台が戻って来た。
そこにあったのは、焼かれた骨と灰。
可愛いはるの姿はもうどこにもなかった。
それを見た瞬間、私は堪らず泣き崩れた。
こんな姿にしてしまったのは私だ。
私じゃなくて、もっと違う人が母親だったのなら、きっとこうはならなかった……
ごめんね…ごめんね……
苦しかった。
胸の奥が抉られるようで。
苦しくて苦しくて。
潰れてしまいそうで。
旦那は思わず座り込んでしまった私の背中をずっとさすってくれていた。
その後は、しっかりと残ったはるの骨を拾い骨壷に入れ。私が骨壺を抱えて帰宅した。
後悔と罪悪感と絶望と。
その後の事はよく覚えてはいない。