2019/3/10 妊娠34週で息子を死産

今はただ、もがくしかってない

4/17 家出

別になんて事ない 。
ただ普通に夕食の支度をしようとして、
そんで全部嫌になった。
というかなんかもう疲れた。

外に出て桜を見て泣いて来よう

唐突にそう思い、夕食の支度を投げ出して外に出た。

時刻は午後6時。
日が沈みつつあるとはいえ、外は暖かく春の陽気だった。
歩きながら妊娠中の事を思い起こしていた。
寒い東北の冬、あんなに毎日凍えながら、大きいお腹抱えて毎日買い物に行っていたのに、今は暖かくて歩き易い。

ほんと、嫌になる。

心待ちにしていた筈の春の暖かさが鬱陶しくて堪らなかった。

近場にある公園で桜を見た。
立派に咲く桜。
本当ならば、はると一緒に見る筈だった。
そう思うと寂しくて寂しくて堪らなかった。

てか、何やってんだろ。

てか、本当に一人なんだな……

はるが居なくなってしまった私は本当に一人ぼっちだった。


時刻は午後8時過ぎ。
日が暮れた外はまだまだ寒かった。
それでも、正直帰りたくないと思った。
帰ればまた旦那と喧嘩になってしまうと分かっていたから。

このままどこかへ行ってしまおうか。
そんな考えも浮かんで来たが、まだはるの四十九日も明けていない。
その考えはすぐに消えた。


「……はるに見られているのかな?」

空に浮かんだ月を見て、ふとそんな事を思った。

こんな事をやっているママも見られてるのかな?

はるが見てたら何て言うかな?

『ママ、寒いのに何してるの?』
『パパがきっと心配してるよ』
『お家に帰ろうよ』

……そう言ってくれたのかな。

……

……帰ろう。
はるの為に帰ろう。

結局帰った後はまた旦那と喧嘩になってしまったが、私の無謀なプチ家出はこうして終了したのだった。