2019/3/10 妊娠34週で息子を死産

今はただ、もがくしかってない

4/5・4/6 心の回復

4月5日。
約3週間ぶりに外に出た。
目的は近場での買い物。
旦那と一緒に車で買い物に出掛けた。

手術から約3週間が経過して、身体の方は順調に回復してきていた。
悪露の方はまだ少し血が混じる時があるものの量は少なくなり、帝王切開の傷の痛みも徐々に引いてきている。
そして、本当に少しずつではあるが、泣く事が徐々に少なくなって来ていると感じていた。

とはいえ、自宅に帰ってからというもの、家に引き篭もっている状態がずっと退院してから続いていた。

外に出るのが怖かった。
部屋という閉鎖空間から、外という現実の世界に飛び出すようで。
時間の流れを嫌でも直に感じてしまう気がして。
あれだけ心待ちにしていた暖かい春が外にはもう広がっている気がして。

けれども、実際に外に出てみれば、思っていたよりも意外と平気だった。

車での移動中も。店に入ってからも。
いつも通り普段通り。平気だと思えた。

たぶん、きっと旦那が一緒だったから。
旦那がいつもと変わらず隣で笑わせてくれたから。

はるが居ない事を、その悲しみをあまり意識せずに済んだのだ。

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4月6日。

『久しぶり〜!そろそろ赤ちゃんが生まれる頃かなと思ってLINEしてみた!』

友達からLINEが来た。
その友人には出産予定は4月だと伝えていた為、そろそろかな?と連絡をくれたのだ。

読んだ途端、思わず泣いてしまった。
部屋には旦那がいた為、泣いている事がバレないように慌てて台所へ逃げる。
台所で返信文を打った。

「どうしたの?なんで泣いてるの?」

不審に思ったのか、旦那が台所まで追いかけて来た。

「いや……なんか友達からLINEが……
そろそろ産まれた頃かな?って送られて来て……」

訳を説明しながらまた涙が溢れて来て、結局最後まで言い切る事が出来なかった。

約3週間が経過して。
昨日はちゃんと外に出られた。
現実の世界に触れても案外平気だと思っていた。
思っていた筈なのに……
死産した話を旦那以外の誰かにするのは、全然平気じゃなかった。

死産となってしまったとはいえ、予定日が来たら、一応親しい人達には報告はしようと思っていた。
そんな時に来たまさかの不意打ち。
報告を聞いた方もきっと辛かった筈だけれども……誰かに改めて話をするのはこんなにも辛い事なんだと思った。

『前向きに頑張ってみるよ』

自分で打った返信文。
自分で打ってて思った。

前向きってなんだ?
一体どうすれば前向きなの?
はるの話で泣かなくなれば?
はるの写真を見ても泣かなくなれば?
それで前を向いた事になるの?
どういう状態が前向きなの?

前向きって何?

前ってどっち?

自分で打った筈の返信文に、本心があるのか分からなかった。

身体が回復しつつあった分、泣く事が徐々にではあるが減りつつあった分、心の方も少しずつ回復して来ているのかと思っていた。

だが実際は、その話になった途端、やっぱり堪え切れず泣いてしまう。

たぶんきっと、言うほど簡単じゃない。
心が回復するのには、まだまだ時間が掛かるのかもしれない……とその日改めて思い知った。