思い出の形
07.ムービーを撮る
写真は勿論沢山撮った。
けれど、どうせなら思い出を動画として残しておきたい。
そう思い立ち、さっそくパパにLINEを送る。
「OK!」と返信が来て、パパはカメラを持って病院に駆け付けてくれた。
それからはるを抱っこしたり、話し掛けたり、手を握ったり。
パパは若干恥ずかしそうにしていたが、ママはそんな事はお構いなしで。
今しか出来ない事ならば尚更。
残せる物は何でも残しておきたい。
それがたとえ、どんな形だとしてもいい。
君が確かにここに居たと、確かに存在したという証を沢山残しておきたかったから。
確かに今はるはここに居る。
私にはただはるが眠っているだけに見る。
他の子供と何ら変わりはない。
なら、他の子供と同じ事をしてあげたっていいじゃないか。
きっと他のお母さん達も皆、可愛い我が子が生まれたならば、その幸せを沢山の形として残しておく筈なのだから。
私も出来る事は全部、考え尽く限りの事をはるにやってあげたかった。
勿論自分のスマホでもムービーを撮った。
機種変前のおんぼろ携帯のままだったのが、ちょっと失敗だったけれど……
大切な思い出をまた一つ作る事が出来た。