入院6日目 ④夕焼けの空

日が傾いて夕方。
明日はいよいよ退院の日。
そして、退院したら次にはるに会えるのは夜。
そしてその夜も明けてしまえば、もう本当に最後となる。

ナースコールを押してはるを病室に連れて来て貰った。

はるを腕に抱いて窓際に行く。
景色を見せてあげたかった。
日中は日差しも強く、日当たりの良い病室内は蒸し暑くなる為、ドライアイスで冷やさなければならないはるには、なかなか外の景色を見せてあげられなかったから。

夕焼けの空に太陽が沈んでいく。
見上げれば、真上には白い半分の月が浮かんでいた。
本当ならば、ここから遠くに見えるママの実家に一緒に行ける筈だったのに……
ごめんね……
ごめんね……

外の景色を見せてあげられて良かった。
どこにも連れて行ってあげられなかったから……
最後に外の景色を見せてあげる事が出来て本当に良かった。

日が沈んで夜が来る。
明日はもう退院の日。
明日を迎えてしまえばもうきっと、時間はもう待った無しであっという間に過ぎてしまう。